はじめに
「歩き始めると膝の内側がズキッ。買い物から帰る頃には腫れて正座もできない」。60代以上の女性に多い 鵞足炎(がそくえん) は、変形性膝関節症と混同されやすく、足元の崩れが原因と気づかないケースも珍しくありません。今回は、毎朝 5,000 歩の散歩が日課だった 60 代女性が、石膏採型インソールで痛みをほぼゼロにし、歩く楽しみを取り戻した事例をまとめました。
1. 患者さんの悩みと症状
- 10 分歩くと膝内側が刺すように痛む
- 階段下りでビリッと来て怖くなる
- 湿布とサポーターで 3 か月凌ぐも悪化傾向
- 散歩を中止し体重が 2 kg 増えたのも悩み
鵞足炎は“足の内側への倒れ込み(過回内)”が引き金。足元で生まれたねじれが膝内側の腱付着部に摩擦を起こします。
2. 初回カウンセリングでわかったこと

| チェック項目 | 結果 | 意味すること |
|---|---|---|
| 後足部アライメント | 外反 4° | 着地で内側にねじれる |
| 足底圧分布 | 中足部内側にピーク | 鵞足に負担集中 |
| ふくらはぎ柔軟性 | 低下(背屈角度-10°) | 足首が硬くねじれ代償 |
| 使用靴 | 3 年使用のウォーキングシューズ | ミッドソールがヘタりサポート不足 |
要するに「踵が外倒れ → 足が内側へ落ち → 膝がねじれる」連鎖が痛みの根源でした。
3. 提案した装具(石膏採型インソール:調整要点)
- 内側アーチサポート+踵内側ポスティング(4 mm)
過回内を抑え、膝への内向きトルクを軽減。 - 前足部外側ウェッジ(2 mm)
歩行時に重心をやや外側へ誘導し、膝内側負荷を分散。 - 衝撃吸収トップカバー(マイクロセルPU 2 mm)
加齢で薄くなった脂肪パッドを補うクッション性。
「踵を立て直し、重心を外へ逃がし、クッションで優しく守る」——この 3 点に絞った一点物インソールです。
4. 装着後の変化と経過
| 時期 | 痛みスコア* | 変化 |
|---|---|---|
| 装着前 | 7 | ― |
| 装着直後 | 5 | 10 分歩行で痛み半減 |
| 2 週間 | 3 | 家事・買い物後の腫れほぼ無し |
| 6 週間 | 1 | 毎朝 5,000 歩散歩を再開 |
| 3 か月 | 0–1 | 旅行で 8,000 歩歩いても軽い張り程度 |
*0=痛みなし、10=耐え難い痛み
5. この事例からわかること
- 鵞足炎は膝より先に “足元” を見ると解決が早い
- シニア女性は脂肪パッド減少+筋力低下で衝撃負荷が増
- 「支える+誘導+クッション」の 3 点セットで歩行が劇的にラク
- インソール+ふくらはぎストレッチで再発予防&転倒リスク低減
6. よくある質問(FAQ)
Q. 保険は使えますか?
A. 医師が「足底挿板」を処方すれば、療養費払いで自己負担が戻るケースがあります。整形外科にご相談ください。
Q. どのくらいで散歩に戻れますか?
A. 多くの方が 2〜4 週間で短距離散歩を再開し、6〜8 週間で元の距離へ戻っています。
Q. インソールは何年使えますか?
A. 歩行量にもよりますが、トップカバー交換を挟んで 1.5〜2 年が目安です。隠れた痛みが戻る前に点検を。
おわりに
膝内側の痛みで散歩をあきらめる前に、足元のねじれを矯正するインソールを試してみませんか。適切なサポートが入ると、「歩く=痛い」という思い込みが驚くほど変わります。
※効果には個人差があります。治療は医師・義肢装具士にご相談ください。
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